KNOWLEDE

斜面防災の知識

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斜面防災の知識​

事前調査概要

当研究グループでは、土中水分の変動から斜面崩壊を予測する手法を提案しています。斜面崩壊が発生する前の予兆を捉えるために、土中水分センサを設置してモニタリングを行っています。(よくわかる斜面防災:新指標「IQS」

崩壊の予兆を検知するためには、土中水分計を水位が形成される箇所に設置する必要があります。

地表面に降った雨は斜面内部に浸透し、法肩から法尻へ浸透します。そして法尻の水位が高くなると、法尻から崩壊が進展します。つまり、一様な傾斜の法面では法尻に水位が形成されやすいといえます。

また、水位は透水性の低い基岩層上に形成されるため、水位の形成には表土層の厚さも関係します。要するに、表土層深が周囲よりもやや深い場合は、土中の水が集まりやすいため崩壊の危険性が高いといえます。したがって、表土層深を測定することで危険性の高い箇所を選定することができます。

 

〇測線,深度の決定

土中内の水が集まりやすい箇所にセンサを設置するためには、法面の縦断方向の表土層深分布を把握する必要があります。

〇測線の決定

測線については、土層検査棒を用いることで簡単に絞り込みが行えます。表土層深の平面的な分布から、土中内に水の集まりやすい表土層の厚い箇所を選定します。(よくわかる斜面防災:表土層の検査方法にリンク

下図の例では、排水溝より西側の斜面で表土層深が厚く,東側で薄い特徴があることが分かります。したがって、崩壊する可能性の高い風化層が比較的厚く、その中でも斜面長が長い西側の斜面が測線として望ましいと判断できます。

 

〇深度の決定

表土層深の分布は、簡易貫入試験で得られます。簡易貫入試験は、少人数・短時間で測定することができます。(よくわかる斜面防災:表土層の検査方法にリンク

センサ設置予定箇所付近で簡易貫入試験を行い、複数地点のデータを連ねることで、下図のように表土層の深度分布がわかる断面図が得られます。

地下水位は主として透水性の悪い基岩層上に形成されるため、表土層深を参考にセンサ設置深度を決定します。

この法面では、水の集まりやすい法尻(S1)と、その上部(S2)の2地点にセンサを設置しました。

S1、S2地点ともに、表層から20cm、80cm、100cmの深度にセンサを設置しました。

 

 

以上のように表土層深を測定することで、適切なセンサ設置位置を決定します。

次項からは、センサの設置方法について解説します。