KNOWLEDE

斜面防災の知識

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斜面防災の知識​

ハザードマップ

「災害を予測して、事前に避難してもらうことで、人の命だけは守る!」

 

当研究グループでは、斜面崩壊のメカニズムを解明し、崩壊の危険性を予測する研究を行っています。

 

土砂災害発生の予兆を事前に捉えることができれば、災害が発生する前に避難することができます。

では、住民はどこに避難すればよいのか?安全な避難ルートは?

避難行動では、住民が自宅周辺の危険性を正しく理解することが重要です!

そのために、自治体は「ハザードマップ」を公開しています。

ハザードマップとは、被災想定区域や避難場所などが表示された地図で、住民の避難の助けとなる情報です。

 

京都府綾部市ハザードマップ(土砂災害)

・災害の発生する危険性のある箇所を表示

 

・土砂災害は、がけ崩れ・土石流・地すべりの3種類に分類土砂災害の種類

 

・避難場所・避難経路・防災関係施設の位置なども表示

図-ハザードマップの例
出典:京都府綾部市HP

 

ハザードマップは、土砂災害だけでなく、洪水、津波など、地域ごとに想定される災害が示されていますが、ここでは、ハザードマップに示される土砂災害の被害想定区域について説明します。

土砂災害の被災想定区域の指定には下記の基準が存在します。このような指定基準から各自治体が判断し、土砂災害ハザードマップが作成されます。

 

〇土砂災害(特別)警戒区域

土砂災害(特別)警戒区域とは、土砂災害防止法に基づいて指定される区域です。

土砂災害の危険性のある区域を

土砂災害警戒区域(通称:イエローゾーン)

建築物に損壊が生じ、住民に著しい危害が生じる可能性のある区域を

土砂災害特別警戒区域(通称:レッドゾーン)

として危険度を2段階で表現しています。レッドゾーンでは、一定の開発行為等が制限されます。

 

また、土砂災害の種類で説明したように、3種類の現象に分類して指定基準が存在します。

「がけ崩れ」・「土石流」・「地すべり」対象に、それぞれ指定されます。

※「がけ崩れ」は「急傾斜地の崩壊」と表現される場合もある

 

当研究グループが特に着目している表層崩壊は、「がけ崩れ」に含まれます。

下図に示すように、「がけ崩れ」では、斜面の傾斜が30度以上、高さが5m以上が主な基準となっています!

 

・傾斜度が30度以上で高さが5m以上の区域

 

・急傾斜地の上端から水平距離が10m以内の区域

 

・急傾斜地の下端から急傾斜地の高さの2倍

図-土砂災害(特別)警戒区域の指定基準(がけ崩れ)

 

土砂災害警戒区域の指定は、地形条件のみを考慮した全国一律の基準です。

そのため、地域ごとに異なる基準で避難警戒情報を発令することが求められています。

当研究グループでは、斜面の地形、土質特性が異なる場合でも同一の基準で、崩壊の予兆を捉えることを目的に研究を行っています。特に、当研究グループの提案する基準では、斜面のごとに適切な評価が行える点が特徴になります。