近年、気候変化に伴う自然災害が多発しています。特に突発的かつ局所的に発生する斜面災害はここ数年増加傾向にあり、その対策が課題となっています。これに対し、道路・鉄道管理者、自治体、或いは住民のニーズとして、真っ先に挙げられるのが崩壊の危険性を未然に知りたいということではないでしょうか。では、この未然という言葉は一体いつのことを指しているのでしょうか。
技術的な問題として、突発的かつ局所的に発生する崩壊の時刻を予測することは容易ではありません。一方、もし崩壊する斜面の適切な位置に適切なセンサが設置されていれば、崩壊直前におおよその崩壊時刻を予測することは可能です。ここでいうセンサとは、斜面の変形を捉えることができるセンサ(伸縮計、傾斜計等)のことを指します。では崩壊直前に崩壊時刻が予測できた場合、誰がその恩恵を被るでしょうか。例として、建設中あるいは対策中の斜面で作業を行っている作業員の方や現場管理者が挙げられます。仮に数分前でも崩壊を予測できれば安全な場所に避難できるからです。また、鉄道の場合は運転士がブレーキを掛けて電車を停止させる、あるいは裏山斜面を有する住民の場合は、住宅から退避することで安全を確保できるかもれしれません。